ハタは学習する魚「ハタとウツボの連携」



ハタについて色々な文献や資料を読んでいますが、以前紹介した本にもハタについての文章があり、面白いと思ったので紹介します。

 

引用した本は、外国の著者になりますので、外国のハタについてだと思いますが、日本のハタ類を考える上でも面白い文献です。

ハタは学習する魚であり、生態系の中でも他種と共存することができる一面もあるということがわかると思います。

 

題:ウツボとハタの連携

ハタとウツボの獲物の捕らえ方は、互いに極めて異なる。

だがこの二種が協力しあった時の効率の良さを考えてみよう。

ハタの追っている獲物が珊瑚礁の小さな穴の中に逃げ込んでしまうと、ハタは穴の内部にまで追ってはいけないため、穴の中でじっと待たざるを得なくなる。

だが、待っていても獲物はしばらく穴から出てこないかもしれず、また同じところから出てくる保証もない。

珊瑚礁は割れ目やひび割れの迷路であって、腹を空かせたハタが待っている場所とははるかに遠く離れたところから、獲物が再び現れる可能性は十分にある。

そこで裏をかかれたハタはじっとしているよりも援軍を呼んだ方が得策だと学んだのだ。

ハタはウツボを探すためにいったんその場を去り、日中は小さな洞窟のような裂け目の中で休息している、狩りの相棒になるべきウツボに遭遇すると、ハタとウツボは合図を交わしはじめる。

ハタは激しく頭部をふり、一秒間に数回、一連の動作を繰り返して合図する。

ウツボはそれを無視することもあるが、大抵は穴から出てくる。

それからウツボはハタの先導に従って獲物の魚が最後にみかけた場所まで泳いでいく。

ウツボは次にその周辺の珊瑚礁を探索しはじめるが、ときにはハタがウツボに侵入すべき穴を指示する場合がある。

ハタはこの指示をほぼ逆立ちするような格好になって、ウツボが侵入すべき穴に口先を突っ込み、そこから胴体を垂直の姿勢に保つことによって行う。

これらの動きにはさらに頭をふる動作が伴う場合がある。

こうして情報を得たウツボは、珊瑚礁に侵入し獲物を探しはじめる。

およそ2回に1回、ウツボは珊瑚礁の中から獲物を追い出し、それまで待機していたハタが迅速に獲物に向かって泳いでいき、食事にありつく。

だがこれはいつもではなく、時にはウツボは珊瑚礁の中で獲物を追い詰めた後、それを一人占めにする。

この例は、どのように魚が互いの意図を伝え合って、協力的な行動を開始するかを示している。それに用いられる伝達手段は言語のように洗礼されたものではないが、いずれにしてもハタはウツボの注意をひく方法を発見し、ウツボはハタが何を合図しているのかを学習するのだ。

二体の個体の反応はその都度変わるが、多くの場合、ハタが合図をした後ウツボは穴から出てきてそれから二匹は一匹の探索に取り掛かる。〜中略〜

ある日、ウツボが獲物を追っているところをみかけたハタが「ウツボは狩りのパートナーだ」と頭に閃いたとも考え難い。

たまたま、ウツボのそばで狩りをしていたハタが、ウツボの追い出した獲物を偶然に捕獲できたと考える方が自然であろう。

ウツボのそばにいると珊瑚礁から追い出された獲物を捕獲できると徐々に学習したにちがいない。〜中略〜

その行動を模範するように学習し、という過程が繰り返され、世代を超えてそのような行動が個体群の中で広がっていったと考えられるのである。(引用終わり)

 

引用: 魚は痛みを感じるか? ヴィクトリア・ブレイスウェイト著

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ハタは賢い 

 

いかがでしょうか。

ハタは意外と賢いんですね。

あと最後の内容を見る限り集団で狩りの方法を学んでいくというケースが紹介されております。

 

真似して学んでいくんですね。

 

海外の話ですが、大きく種類が変わらない場合、日本に生息しているハタも同じ地域に住む魚たちと協力関係を築いていないとも言えません。

 

偶然が重なり、タコと連携するハタがいたって不思議ではないですね。

釣りに関係してくる内容になるかはわかりませんが、こういう生物的な習性はどんどん解明されていくことを望んでいます。

まだまだ不明な点が多いハタ類ですが、 こうした小さな記事などがあれば紹介していきます。

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