アイナメが絶滅しそうな横浜(東京湾)でルアーに拘ってキャッチした具体的な話(前編)



横浜(東京湾)でアイナメ?  

 

昔から生息していて、今こそ一隻しか乗合船は出ていませんが、アイナメという魚は未だに東京湾(横浜エリア)に生息しています。

伝統のブラクリ仕掛けに、アオイソメかイワイソメをつけて、ちょい投げで、ストラクチャーを狙う姿はまさに僕の地元の東北ロックフィッシュゲームと似ています。

 

さて、今回は東京湾の船でのアイナメ釣りをご紹介… といきたいところでしたが、僕はそんな釣りはしません。

ただでさえ、船釣りでさえ、極端に厳しくなりつつあるアイナメゲーム。

あえて、意地を張ってオカッパリにこだわってみました。笑

色々ありましたが、魚をキャッチし、魚の位置や食性が明確にわかるまで3年の年月が経ちました。

 

今回は、東北育ちのロックフィッシャーが東京湾(横浜沖堤)に挑んだ話をまとめます。

 

三陸でロックフィッシュをしてきた僕にとって横浜でもロックフィッシュができたら!と思うのは当然の気持ちだったかもしれません。  

しかし、それは厳しい厳しい、それは厳しい釣りの始まりだったのです・・・・・笑

人生で最もしんどい釣りでした。    

 

地元民のアイナメ意識調査

 

まず、2015年の秋。

ある情報が舞い込んできました。

横浜沖堤で、アイナメが釣れる、と。

横浜にアイナメがいるなんて、はじめて知った僕は舞い上がりました!

そこで、早速リサーチ!

 

地元の人に話を伺うとアイナメがいることは認識していますが、数が少なくあまり釣ったことがないという人がほとんどでした。  

たまたまお聞きした投げ釣り師に聞くと、冬に投げ釣りで、たま〜に釣れるという程度ということです。  

餌釣りでもオカッパリだとこんだけ厳しいのか・・・・  

 

また、渡船屋さんに話を聞いた時も、釣れたとしても、ほとんど名前すら聞かないよ、と言われる始末。  

 

どうなっちまっているんだ?  

 

そこにルアーとなると一体・・・   専門で狙う価値はあるのか?! と思いました。  

おそらく、ルアーでアイナメを専門に狙う釣り人は横浜の沖堤防では皆無だと思います。  

僕のルアーマンへの調査では、「ルアーでは釣れないから対象外だよ」「数が少なくなってきて本当に釣れない」「ルアーで釣れるの?」といった声が多くルアーでアイナメを狙うという文化は横浜にはほとんどないように感じました。  

もちろん、ルアーで釣れちゃったっていうパターンはありますが、専門に狙って釣れる人がどれくらいいるのか疑問でしかありません。  

 

ちなみに餌釣りの東京湾アイナメは昔から有名で、ブラクリやブラーでの穴釣りから、船からのアイナメ釣りが盛んに行われていました。

現在は一隻のみアイナメ船が出ております。  

それだけ、乗合船でもマイナーな釣りになってしまいました。

数が毎年、減少し続けているそうです。

 

その証拠にエキスパートの人ほど、アオイソメやイワイソメではなく、特殊な餌を用いています。

当然、その餌は普通に釣具屋には置いていない特別な虫餌です!笑  

その虫餌でないと、釣果が著しく落ちるとのことです。

※情報提供者の意向により、公開NG  

 

そうした、横浜の現状を交えながら、時系列で、僕の東京湾のアイナメルアー釣りについて語っていきたいと思います。    

 

S氏、ルアーの挑戦

 

関東に住みながら、東北にも通い続ける熱血ロックフィッシャーマンがいます。

年齢は僕よりふた回り以上、ウエの方です。

僕に関東ロックフィッシュの情報を色々教えてくれる方で、ここではS氏とします。

まず、S氏から聞いた体験談を紹介します。

 

2015年の数年前の冬に、横浜沖堤のD突堤(場所の名称)のテトラ帯にて、仲間と共にロックフィッシュを狙っていたそうです。

その時に、狙っていたのはアイナメ。

 

冬の産卵時期になり(水温の関係で東北と時期がずれています)アイナメが接岸していると。

そこで、S氏はワームでアイナメをキャッチしようと様々なワームをローテーションして攻めますが、ノーバイト。

仲間がイワイソメの餌釣りで数匹キャッチしていたのを確認していたため、ルアーで釣れないはずはないと踏んで、ワームにこだわり続けたそうです。

しかし… 釣れ続くのは、イワイソメばかり…

 

S氏は意地になり、ガルプ投入! サンドワームに、インチホッグといった喰わせ系ワームを投入するも、ノーバイト…

結果的に、ワームにアタリはなく、何とイワイソメで釣りをしていた仲間は40アップ含むアイナメを11本キャッチ。

S氏はノーバイト、ノーフィッシュ。

 

S氏は絶句して帰ったそうです。

なぜなら、イワイソメで釣れているポイントに散々ワームを入れても喰わず、イワイソメを入れると即バイト状態だったそうです。

 

最後にS氏の名誉のために書きますが、決してヘボな釣り人ではありません。

関東ロックフィッシャーマンの中でもトップクラスの実力を持っている人物です。

 

そんなS氏が惨敗した要因は何でしょうか?

当時、色々議論しましたが、結果はイワイソメの匂いということに落ち着きました。

 

話を聞いていて偏食傾向があると、どうしようもなく難しくなるアイナメゲームの難しさを感じました。

おそらく、S氏の釣りしたタイミングでは、沖の砂地をメインに生活していた個体群が堤防のテトラ周辺に移動してきていたのだと思われます。

つまり、普段は沖で環中類などの虫系を捕食していた可能性も否定できません。

その後、S氏が再リベンジをしたそうですが、またもや餌釣りに完敗したそうです。

 

横浜沖堤防挑戦2015年11月

 

S氏の餌釣りに完敗した話を聞く限りだと、毎年、横浜沖堤に魚は確実に寄っているという事実はわかりました。

しかし、餌にしか反応しないという特殊な状況下でいかにして、ワームに反応させるかという点がキーになってくると感じました。

 

場所に関してはおおよそ、S氏にガイドしてもらい、兎にも角にも、産卵時期前の11月末に、実釣することにしました。

横浜沖堤のテトラという場所が有望な話もありましたが、真冬で潮をかぶると危険と判断し、足場が整っているD突堤を選択しました。

 

午前中の早いタイミングから釣りをスタート。

S氏は場所を知っているのか、ブレイク周辺を丁寧に探っています。

僕はというと、まず、地形を知らないといけないので、10グラムテキサスをスピニングで遠投し、ズル引きして、全体の地形等を確認しました。

その後、ベイトらしき生き物が光っていたので、ジグヘッドとグラスミノーでサーチ。

控えめな巻きで、探りますが何の反応もなし。

 

※その時にどんな餌を食っているかで釣り方を変えるのアイナメゲームの基本です。

アイナメ=底の魚というイメージは間違いではありませんが、その捕食範囲はフルレンジです。

つまり、底から表層まで餌を追いかける魚なのです。

多少濁りはありましたが、冬のシーバスなど反応もあるかもしれないと期待から、スイミングパターンを組みましたが、何の反応もなし。

S氏は相変わらず、堤防から5メートル先のブレイク周りを、5グラム前後のシンカーで丁寧にズル引きしています。

ライトな釣りが正解に近いかもしれないと思いつつも、とにかく情報が欲しいため、重めのテキサスでテンポよく探り、ボトムとの対話を繰り返します。

ほぼ、砂地のため変化がわかりにくい上に、バイトなどの反応もなく、かなりメンタルが試される状況でした。

 

ワームをカラー、種類ともに様々ローテーションしましたが、全くの無反応。

昼頃まで、互いに何も反応のない時間を過ごしますが、ここで雨。

凍えそうな手に降り注ぐ冬の雨。 とにかく、しみます…笑 S氏の表情も曇り、そのままノーフィッシュかと思われました。

 

しかし、数時間我慢の展開が続きましたが、ボトム付近では明らかに潮の動きが変化していました。

 

このタイミングで雨がやみ、晴れてきました。

何だか雰囲気が変わったのを覚えています。

 

手前に流れていた潮はいつしか、横向きに流れ出していたのです…

船の迎えがくるまで、残り数十分。

 

せめて魚の反応だけでも…

心が折れそうになりながらも、一番自信のあるバグアンツ2インチへ変更。

インチホッグなどの食わせ系ワームから、ワームのサイズアップをします。

 

最後はS氏が終日叩いていたブレイク周りを14グラムのテキサスとバグアンツ2インチで攻めます。

水深は数メートルの浅いブレイクで、14グラムはかなり重めの選択で、S氏曰くあり得ない選択だと言われました。

 

ライトで食わせの釣りをしているから喰わないのでは?という疑問が生まれ、最後の時間で重めのテキサスでリアクションをかけてみることに。

ブレイクに対して、上を向き待機しているであろうアイナメに対して、10センチほどリフトして移動させ、目の前に落として食わすイメージで探っていきました。

いるかどうかもわからない状態で、不正解なのかも不明…

暗中模索の中での釣りはかなりの不安を覚えます。

しかし、一投目からヒントがありました。

 

フォール中に何らかのバイト!!

体当たり系のバイトだったため、リアクション的に何かの魚が口を使ったとわかりました。

それをアイナメだと信じ、移動しつつブレイクに対して斜めにトレースしていきます。

ズル引きやボトムバンプではなく、ただひたすら、細かくシャクって落としていく感じです。

 

船到着まで残り10分に迫りました… このまま終わりか… と諦めかけた瞬間。

 

トゥンっ!

 

明確なバイト! びっくりアワセをしてしまいゴリ巻き!笑

ついにワームで釣れてくれました、アイナメちゃん。

ガッツポーズ!

 

すでに泣きそうなくらい嬉しかったです。

東北で言えば、鼻で笑われるようなサイズですが、ここは横浜のスーパーハイプレッシャー堤防で、アイナメの数も極めて少ない地域。

しかも、餌釣り師しか釣れない魚!

 

この1匹でも、大人サイズです。

シャローのブレイクでのリアクションという動きに結果がついてきました。

このまま、納竿。

 

その時の釣行で、2つほどヒントをもらいました。

ブレイクに対する潮の流れとワームでリアクションをかけるということ。

 

この釣行を頭の中で何度か思い出してみたら、懲りずにまた行きたくなってきました。

 

横浜沖堤防挑戦2015年12月  

 

前回の釣行後、すぐにでも、行きたかったのですがそうこうしているうちに、年内最後の釣りになっていました。

一緒に同行してくれたのは、あらゆる釣りのジャンルに精通している次世代アングラーのH氏です。

H氏は、伊豆全域のハタゲームを開拓し、今では40アップのアカハタを狙って釣れるレベルのアングラーです。

また、毎年青森県に遠征しに行くようで、アイナメゲームはある程度知っている人です。

 

そんなH氏と共にアイナメを攻略します。

場所は前回の釣果も気になるため、D突堤。

 

D突堤はL字型の堤防になっているのですが、今回は潮が動いていたこともあり、堤防の先端からエントリー。

シーバスらしき影が見えたので、スイミングするも釣れず。

 

堤防の先端は、反対側の堤防との間にあるミオ筋を攻めることができます。

※ミオ筋とは、船の通り道で、深くえぐれていたりします。

 

ミオ筋の中に、ゴツゴツした岩のような物が沈んでいる場所があり、そこには旬のロックフィッシュが必ずついています。

そのため、ミオ筋の岩にロックマックス3インチを落とすと、いきなりバイト!

 

これはイケるぞ!と期待をしつつ投げ続けますが、岩周辺ではコツコツと小さなバイトがあるのみ。

時間をおいて、ポイントを休ませることに。

 

H氏はガルプのキャロライナリグで、ストラクチャー周辺を丁寧にズル引きしています。

僕は、前回の釣行で成果のあったブレイク周りを攻めます。

しかし、釣れる感触がなかったため、元の堤防の先端に戻ることに。

 

冬は釣り人がいないので、移動がしやすいです。

 

堤防の先端では、14グラムテキサスバグアンツ2インチで、先ほどのミオ筋に打つと、いきなり答えが出ました。

 

アイナメ!!

いきなり釣れちゃいました。笑

嬉しすぎて、よくわからない方向見ています。笑

 

やっぱり、このスピードでリグを落としてあげるのがキモなんだと感じました。

 

その後、ロングスピンで狙いますが、ミオ筋以外では何の反応もなし。

 

ここでH氏はあることに気がつきます。

 

アイナメ保護のため、場所の詳細は言えませんが、アイナメのベッド(産卵床)を発見することができました。

ベッド付近で、攻撃的な婚姻色の出たオスアイナメをキャッチしました。

 

これをヒントに僕も同じようなポイントを探して、打つと明確なバイト!

婚姻色のアイナメがある一定の条件下の元にいることがわかりました。

1ヶ月間、卵を守る習性のあるアイナメのオスを持ち帰るのは嫌なので、同じ箇所にリリースしました。

卵を絶食で守るため、少し痩せていました。

 

おそらく、このタイミングではオスが同じポイントに何匹もいると予想できましたが、寒さもピークに達していたので、お昼過ぎには納竿。

 

横浜アイナメのベットの条件がわかったのは初めてでした。

また、今回釣ったアイナメの口をみると、小さな子ガニを食べていました。

 

横浜付近で大量に発生する赤い子ガニです。

やっぱり、ロックフィッシュは甲殻類と生息域が一緒の法則は関東でも一緒でした。

 

横浜沖堤防挑戦2016年  

 

長くなりすぎたので、次の記事にしますね。

 

ロックフィッシュは宝

 

以前の仕事柄、古い雑誌を読むこともあったのですが、東京湾にはロックフィッシュがたくさんいた環境だったようです。

昔は、堤防に出てアイナメを釣りたくて、足繁く通った当時の釣り人もいます。

 

そこから、様々な釣りに発展していった方も多いのではないでしょうか。

 

そんなアイナメやカサゴの生息にも変化が訪れています。

カサゴは放流しなくては、数がどんどん減っていますし、アイナメも年々数が減っていると言われています。

メバルは元気なようですが、本当にボトムにいるロックフィッシュに関しては、どんどん少なくなっている感じしかありません。

 

ロックフィッシュは、根に付く習性があります。

そのため、釣れば釣るほど、いなくなってしまいます。

青物や鯛のように、一気に増えることができないからです。

地道に育っていくのが、アイナメやカサゴです。

平均カサゴは3年で約17cm

平均アイナメは4年で約30cmから約40cm(地域で異なる)

平均ブリ(イナダ)は1年で約30cm

船でも、堤防でも、ぜひ必要以上のキープはしないで、そっと返してあげる優しさが必要な時代です。

 

少し優しい気持ちで、魚たちと触れ合ってもらえると、僕としても嬉しい限りです。

最後までご覧頂きありがとうございます。

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