イギリスでは「釣り人のための植物学」という本が発売されている
紳士の国イギリスでは、ラグビーやサッカーなどの球技が有名ですが、貴族の遊びとして有名なものにフライフィッシングがあります。
貴族の遊びとして広まったフライフィッシングですが、ルアーよりフライが好まれているのがイギリスでの現状です。
ほとんどフライフィッシャーマンな国のようで、多獲主義でたくさん魚を釣れば良いという考えが極端に薄いようです。
そんなフライフィッシングが盛んなイギリスでは、植物学に学ぶという内容の釣りの本が発売されているのです。
それを多くのアングラーは参考にして、環境全体を釣りの対象としてみているアングラーもいるのでしょう。
生態系全体をみようとする発想
魚を釣るのに魚が食べる虫を知ろうします。
そして、その虫がどんな植物につくのかを知る、全員とは言いませんがイギリスではこういう発想で釣りに取り組んでいるのです。
実際にプロのシーバスアングラーである小沼氏は爆釣したタイミングでは必ず植物を撮影しているそうです。
この話を聞いた時、なるほど、と手を打ったのを覚えています。
生態系は繋がっている訳です。
さらに日本の房総半島でも「カツオのとれる年にはグミがよく成る」と言われています。
実際にグミが成る年はカツオが獲れるそうです。
このような話を漁師さんはたくさん持っているようで、まさに漁師の知恵。
生態系全体をみる考えの一つだと思います。
日本のアングラーは対象魚の背景には興味がない?
今回このような話を持ち出したのは、日本のアングラーは釣り方や道具には興味があって詳しいけれど、「地域の特徴、魚に対する知識が薄い」と感じたからです。
業界的にも道具の知識や釣り方の知識をすごく教えたがる傾向が強いです。
まるで義務教育のように「これが正解」的な広告を出して雑誌の記事を作り、動画で有名アングラーに紹介してもらう→結果一般アングラーが道具の議論ばかりになっていくのです。
釣具業界も商売ですから仕方ありません。
でも、釣りに絶対的な正解はなく「1人で楽しみ、プライベートな感覚で楽しむ趣味」だということを忘れないで欲しいと思います。
本来、魚釣りは自然の中での遊び
ターゲットとなる魚や自然環境を知り、そして道具を探し、釣り方を知る。
このようなプロセスで考えられるはずが、最初に釣り方ありきの考えになっている気がします。
有名釣具屋さんでさえ、大きなPOPに道具仕立ての方法のみが書いてあり、どんな魚でどんな種類の魚なのかを詳しく知らない店員もいるほどです。
そんな短絡的、かつ効率的な考えは魚釣りという魅力を半減させてしまうと感じています。
魚釣りの魅力は、手に残る感触や自然との知恵比べ、自然を体感するところにあることも多いはずです。
魚の釣り方しか知らないと「なぜこのように釣れたのか?」を考えず、ただ教わった通りに釣れたという思い出だけが残ってしまいます。
「家族連れでこの日釣れて楽しかった」で終わる人ならそれで構わないと思います。
しかし、これから魚釣りを楽しんでいく人が「自然のことを勉強せずに何を学ぶのか?」と疑問に思います。
道具について語るのも一つの楽しみですが、道具に特化しすぎるのも面白さを半減させてしまっていると思います。
自然全体を知ること、対象魚の背景にはどんな自然があるのだろうと考えてみることでより複雑さと面白みが増えると思います。
「自身の対象魚ってどんな魚なのか?」という疑問は常に持ちつつ釣りに望みたいものです。
釣りを通して、お店を通して色々な方とお話してきましたが、業界に何ともしれない大きな不安感を持っているのは僕だけではないはずです。
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